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「ゼロ秒メモ」を活用した、アイデア・新規事業ネタの創出方法

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最近たまに聞かれるのが「どうやって新しいアイデアや新規事業のネタを見つければいいですか?」という質問です。自分自身そこまでアイデア豊富なわけではないと思いますが、確かにアイデアの創出方法について書かれたものってあまりないなぁと思い、今回のブログでは最近やっている方法を書いてみたいと思います。すでに存在する事業やできごとの成功要因を分析したものはけっこうあると思いますが、そもそものタネをどうするかという話ですね。

新しいことを考える際、ひとつ気をつけていることがあって、すでに存在するビジネスをリサーチなどしながらインプットを増やしそれを少しいじったり、隙間をつくようなアプローチはやらないようにしています。そのやり方を取っている以上、他の人が同じことを同じ方法で考える可能性が高くなる、というのと、表面的な事象から導きだしたアイデアというのはいざ深掘りするときに壁にぶつかりやすいと感じているからです。ということもあり、基本的な方針としては自分が実際に見聞きしたことがベースになっているか、というのを重視しています。体験や経験をベースにすることで、ぱっと見どこにでもありそうなアイデアでも、根幹の経験や接点はオリジナルであることで少なからず独自性を担保できるというのが経験上あるかなと思っています。

ここで重要なのがその体験や経験をベースにした気付きをどうやって集めるか?、ということです。自分はいろんな方向に目が移りがちではありますが、その時々で様々なのを取り入れています。そしてここ3ヶ月くらいは「ゼロ秒メモ」というメソッドを取り入れたやり方が多いです。これは赤羽雄二さんがちょっと前に出された「ゼロ秒思考」という書籍で知った手法なのですが、ざっくりいうと「日常で感じたことをすぐさま手元の用紙に書き出すクセをつけることで、考えの型ができ、結論を出す時間をスピードアップできる」というようなものです。実際の書籍の中では、「必ずA4紙に手書きで書く」とか「1枚に1テーマ」という細かいルールがあるのですが、そのへんは気にせずevernoteで適当に書くようにしています。
※ちなみに「ゼロ秒メモ」というワード自体は書籍には出てこない造語です。

この「ゼロ秒メモ」、書籍内では考え方の整理術として紹介されています(ここでは詳しく紹介しないのでぜひ本を読んでみてください)が、スタイルだけは真似しつつアイデア創出にフォーカスする、というのが今回紹介するやり方です。

ポイントは、なるべく頭でひねり出さずに感じたことを書き出すというもの。この時点ではいいアイデアになるか?など気にせず、まずは感じたことをどんどんアウトプットします。大きく分けると以下の2ステップです。

①ゼロ秒メソッドに沿ってメモを書き出す

以下は先週夏休みで沖縄に行ったときのことを題材として書き出してみたメモの例です。あえて沖縄にしていますが、題材よりもアウトプットの量が重要なので、日常的に仕事やプライベートで感じたことを書き出していきましょう。最初は各トピック1行ずつとかしか書けないのですが、いったん気にせず書き出していきます。

・★沖縄での島唄の人気はすごい。人気というか意識せずにいろんなところで流れている。ラジオや市場、テレビなど。好きでも嫌いでもないのかもしれないが、とにかく間を埋めるならとりあえずこれ、というレベルまで浸透している感がある。そこで、同じようにそれなりに観光地やエリアとしてキャラが立っているけどいまいちブレイクしきれていない自治体に向けて同じようなテーマソングを作るのはどうか、と考えた。まず曲に必要な要素として、

①サビがきちんとありキャッチー、みんなで歌えるテンポ。
②メロディがしっかりしていて、合奏でなくてもすぐ何の曲かわかる
③その地でポピュラーな楽器で演奏したときの親和性が高い。

これを、メジャーデビューはしているけどいまいちブレイクしきっていないアーティストに演奏してもらう。サムシングエルス的な感じだろうか?あまり濫造するのも微妙なので、北海道のどこかと四国のどこかあたりから始める。 

・★ホテルの本当の特徴は現地行くまでわからない。家族向けなのかどうか、とか。うまく知りたい情報を絞り込めないか?実際に行った人に簡単なインタビューさせてもらうとか。マニアックなところで、台風に強いホテルとか。「沖縄台風ドットコム」

・なにげに那覇空港でF15らしき戦闘機が着陸したのをみた。どうも自衛隊もつかっているらしい。

・海産物、特に魚はカラフルなのが多かったり、いまいち種類が少ない。南国でそれを求めちゃだめか。マンゴーはめちゃ売っている

・さざえの刺身はありがたかるが、食べれない貝は気持ち悪がるのはなぜだろう?

・オリオンビールのロゴはアサヒに似ている。それにしてもノンアルコールビールは革命的だな。プールで飲んでそのままクルマ乗れる。

・最近の沖縄そばはとんこつというか、だいぶラーメンの影響を受けたアレンジのが増えたようだ。

・読谷村のあたりは沖縄戦で米軍が上陸したところらしい。

・海ぶどうは意外に養殖難しいらしい。同じ建物でもちょっとした日照の違いで差が出てしまったり、水質に敏感。もちろんそれでも育つのだけど、商品価値が下がってしまう。どちらかというと付加価値の高い作物だと思うが、需要が大きくないので量が出ないようだった。ししとうみたいな小振りで一口で食べ出がある作物があるといいんだけど

・ファミリー向けホテルでユニットバスはないだろう・・

・レンタカーはヴィッツ、フィット、デミオ、ノート、アクア、の5車種が主流のようだ。iPhone用のFMトランスミッターがあるとよかったかな。

・★息子がiPadでゲームをやっているが、どうもそれを通じて字が読めるようになってきているようだ。なぜなのかと注視していると、自分がやりたいと思った1ステップ先にあるものを理解するモチベーションは高くなりやすいようだった。座学的にひとそろい教えるのでなく、興味を持ちそうなことをたくさん用意しそこにちょっとしたハードルを設ける、というのは幼児教育において有効なのかもしれない。ゲームアプリを模した教育アプリ、とか。

・★国際通りの店はだいたい3パターン程度に大別できる。
 ①観光客相手の土産店。お菓子とかTシャツがメイン。店頭に並んでいるお買い得品はどの店もだいたい同じ。
 ②飲食店。沖縄料理中心でだいたい三線の演奏がセット
 ③謎のパワーストーンみたいな高単価の店。誰が買うのか不思議だ。
 その他コンビニやアイス屋チェーンなど。体験を売る店の人気が高いようなので、しっかりした沖縄料理とライブ、楽器や踊りの体験、帰りがけにおみやげでシーサー像もしくは小さな泡盛をあげる、をセットで提供できたりすると人気出るんじゃないか?

・おかし御殿の紅いもタルトはどの店にもおいてある。おかし御殿自体が沖縄お土産界のクラウド的存在になっていて、いろんな商品を供給しているようだ。

②メモから肉付けできそうなテーマをピックアップする 

一度書き出してみると、最初は1行ずつとかしか書けないのですが、その中に、もう少し肉付けできそうなトピックがあったりします。最初の印象をベースに「こうしたらいいんじゃないか」「こんなふうになってたらいいな」ということを肉付けします。上の★がついているのが今回肉付けしてみたポイントです。どれもこのまますぐ自分が実用化できるものではありませんが、ある程度の期間繰り返しやってみると有用なアイデアにつながってきたりします。

ブレストなんかもそうですが、何か元ネタがあればそれをベースに肉付けするのは割とみんなできる気がするのですが、その元ネタ、特に筋のよさげな元ネタをどう創出するのかが課題と感じていて、それを解消する方法として今回の方法を取り入れるようにしてみました。「ゼロ秒思考」の作法としてはちょっと邪道かもしれませんが、「アイデアが思いつかない」という方、ぜひ一度、2週間くらいは続ける前提で試してみてください。